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曲技飛行とは?

​ 「曲技飛行とは、航空機の急激な姿勢変化、異常姿勢、急激な加減速を含む、通常飛行では用いられない意図的な飛行をいう。」・・・航空機を用いて通常飛行と異なる、特殊な飛行を行うことを指します。

曲技飛行とは

 曲技飛行は、英語圏ではAerobatics(エアロバティックス)、Acrobat(アクロバット)、短くAcro(アクロ)などと呼称され、航空機を用いて通常飛行と異なる、特殊な飛行を行うことを指します。例えばロール(Roll、横転)やループ(Loop、宙返り)などがあげられますが、広義では通常飛行ではない飛行は、すべて曲技飛行とされています。FAA(Federal Aviation Administration、米国連邦航空局)では、曲技飛行は以下のように定義されています。

“…aerobatic flight means an intentional maneuver involving an abrupt change in an aircraft's attitude, an abnormal attitude, or abnormal acceleration, not necessary for normal flight.”
FAR Part 91.303より

 日本語に訳すと、「曲技飛行とは、航空機の急激な姿勢変化、異常姿勢、急激な加減速を含む、通常飛行では用いられない意図的な飛行をいう。」となります。

 航空機は、移動を目的に用いられる場合、離陸、上昇、巡航、下降、進入、着陸など、旅客機に搭乗して経験する飛行が通常飛行です。先に記述したロールやループなどは曲技飛行の基本的な飛行であり、また一般的な操縦訓練で行われている、スローフライト(Slow Flight、低速飛行)やストール(Stall、失速)、スティープターン(Steep Turn、急旋回)、レージエイト(Lazy Eights、高度を変化させつつ行うSターンの一種)、シャンデル(Chandelle、180度旋回しつつ高度を獲得する飛行)などの飛行も、広義では曲技飛行に分類されます。

 飛行機やヘリコプター、滑空機など、航空機のカテゴリーの区別なく、飛行は縦軸(Longitudinal Axis)、横軸(Lateral Axis)、垂直軸(Vertical Axis)の3軸回りの運動により行われます。この運動を通常飛行では求められない領域にまで広げ、飛行士の意志によって行われる飛行が曲技飛行です。

 航空機の本来の移動という目的から逸れ、人々が曲技飛行を行う目的はどのようなものがあるのでしょうか。

  • 趣味の一つとして曲技飛行を楽しみたい。

  • 操縦技術を磨きたい。

  • 航空力学の研究に。

  • 軍や自衛隊の操縦士採用試験の準備のため。

  • 曲技飛行競技会や世界曲技飛行選手権に参加したい。

  • 将来はエアショーパイロットとして活躍したい。

 

 曲技飛行は操縦技術の高度なレベルでの習得や、航空力学の確認、異常姿勢の回避や回復操作(UPRT)を学ぶなどに非常に有効な訓練手段です。曲技飛行を認可された飛行機や滑空機で、パラシュートを装備し、訓練では曲技飛行を熟知した飛行教官と、高度を十分にとり、合法的に、安全性に留意して行います。米国、カナダ、ヨーロッパ各国、オーストラリアなど各地では、曲技飛行はジェネラルアビエーション(定期運送事業を除いた航空事業)の人気のアクティビティの一つです。
 

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